治療法に関して

 

アルタ療法(ジオン注射)とは

アルタ療法(ジオン注射)とは、注射液を内痔核(いぼ痔)の中に注入し内痔核を硬化縮小させる治療法で麻酔後に数分間で治療は終了いたします。ジオン注射液の主成分は硫酸アルミニウムカリウムとタンニン酸です。

ジオン注射液
当クリニックでは平成22年1月からこのアルタ療法(ジオン注)を開始し、現在まで5500例に達しました。

現在一般的に行われている痔核根治術(結紮切除)ですと、術後の排便時の痛みや、手術後2週間以内の排便に伴う大出血の危険性は避けられませんでしたが、アルタ療法単独の治療では術後の痛みや出血は全くと言って良いほど見られませんでした。 また内痔核と外痔核がある場合には内痔核部分はアルタ療法、外痔核部分は結紮切除を行っていますが、通常の痔核根治術で避けられない止血を要する出血は今のところ皆無で、術後の痛みもかなり軽微です。アルタ療法(ジオン注)は以上の様に術後の大出血の危険性や痛みが無いことから当クリニックでは全例日帰り手術が可能で退院翌日からの就労も可能です。

最近、心筋梗塞、狭心症、心房細動、ペースメーカーや人工弁置換術術後、脳梗塞などでワーファリン、パナルジン、バイアスピリンなど「血液がサラサラになる薬」を服用されている患者様が多くなりました。このような患者様の切除手術の場合、一般的にはこれらの薬を一定期間中止しなければなりませんが、その期間脳や心臓の病気が悪化する可能性があります。当クリニックではほとんどの場合これらの薬を服用したままでアルタ療法(ジオン注)を行うことができます。

このような患者様の切除手術に際してはこれらの薬を一定期間中止しなければなりませんが、その期間脳や心臓の病気が悪化する可能性があります。 当クリニックではほぼ前例において薬を服用したままでアルタ療法(ジオン注)を行うことができます。アルタ療法(ジオン注)の禁忌(投与してはならない患者)は次の通りです。
  1. 妊婦、妊娠している可能性のある婦人
  2. 授乳中の婦人
  3. 透析を受けている患者
  4. 嵌頓痔核を伴う患者
アルタ療法症例について

便秘の治療


便秘薬は市販薬もありこれらのほとんどが刺激性下剤です。一般の医療機関での処方もその傾向が強く、処方された刺激性下剤で腹痛や下痢などで悩まされる方も多く見受けられます。昨年「慢性便秘症診療ガイドライン2017」が作成されておりますが、まだまだこれに沿った治療がなされていないのが現状です。また他の治療目的で処方された内服薬が原因と思われる便秘も多くあります。さらに詳細な問診を行いますと、内視鏡検査の前処置やピロリ菌の除菌後の発生する急激な腸内細菌叢の変化に起因すると思われる便秘もあります。

当クリニックでは便秘に対しては薬物療法を行いますが、既往歴や現在服用中の内服薬を把握した上で適切な内服薬を選択いたします。内服薬は少なくとも数か月服用することになりますので、医療費の負担を考慮しジェネリック医薬品を選ぶようにしております。なお当クリニックのジェネリック医薬品の使用率は94.4%(全国健康保険協会による院外処方の調剤統計H28年10月)です。最近の下剤(新薬)の薬価は従来の20倍以上のものもあり、当クリニックでは従来の下剤で効果がなかった方にのみ新薬の処方をするように心がけております。薬物療法と同時に食事指導、排便指導、生活指導などを行い、次に下剤の減薬に努めます。便秘でお悩みの方はご相談下さい。

便失禁・尿失禁に関して


長期にわたり肛門疾患の治療に専念して参りました。その中で尿漏れ、便漏れで外出が出来ない、尿漏れが怖くて子供の学校行事で縄跳びも出来なかった、などの多くの相談を受けました。便失禁の本邦65歳以上の有症率は男性8.7%、女性6.6%(便失禁診療ガイドライン2017年版)で骨盤底筋群の筋力低下が主な原因として考えられます。

またガイドラインによる便失禁の主な治療法の推奨度では、骨盤底筋群体操やバイオフィードバック療法はC判定(エビデンスのレベルにかかわらず、ガイドライン作成委員の意見が完全には一致しない)とあまり効果は期待できず、仙骨神経刺激療法SNMは推奨度A(高いエビデンスに基づき、ガイドライン作成委員の意見が一致している)と最終手段としては見逃せない治療かもしれません。しかしSNMは2回の手術、植込み後の疼痛、その後の通院(電池交換、刺激装置の調節等)、高額な医療費の問題もあり、特に高齢者では第一選択の治療法とは言えません。
当クリニックでは現在独自の方法にて便失禁、尿失禁の治療を行い、良好な結果を得ております。一般的な生活指導や薬物療法の他、1回のみの外来超音波治療(ハイフ)で、所要時間は便失禁で約15分、尿失禁で約20分、処置中処置後の疼痛や出血も皆無で副作用もありません。便失禁、尿失禁の方はぜひ悩まずにご相談ください。

2017年に便失禁ガイドラインが発行されました。治療法の要点は以下の通りです。無意識に便がもれる症状を便失禁と言い、日本人の男性の8.7%、女性の6.6%に見られる。様々な治療法を国内の著名な委員の先生方が検討し治療法が有効か否かを検討し、推奨度A~D を決定した。 その結果、最も推奨度が高かった方法(A)は、軟便を伴う便失禁に対しての食物繊維の摂取とロペラミド塩酸塩の服用、外科的治療では仙骨神経刺激療法(SNM)であった。
次に推奨度が高かった方法(B)は、便性状を軟化させる食事とアルコールの制限、軟便を伴う便失禁に対してのラモセトロン塩酸塩の服用、漏出性便失禁に対しての排便習慣指導に加えて、坐薬や浣腸による定期的な直腸の空虚化、逆行性洗腸法(灌注排便法、経肛門的洗腸法)、括約筋断裂による場合の肛門括約筋修復/形成術、ストーマ造設術であった。以外にもマスコミで注目されている骨盤底筋訓練やバイオフィードバック療法は推奨度が低かった。
ここで、仙骨神経刺激療法は推奨度が高いが、2回の入院手術、術後の定期的な診察、3~5年ごとの刺激装置本体の交換のための入院手術が必要であり、また激しい運動や、強い磁気を発生している家電製品やMRI検査、温熱療法への注意も必要となる。
  1. 推奨度A 医学的根拠も十分にあり、委員の先生方の意見が一致した治療法
  2. 推奨度B 医学的根拠は十分でないものの、委員の先生方の意見が一致した治療法
  3. 推奨度C 医学的根拠にかかわらず、委員の先生方の意見が一致しない治療法
  4. 推奨度D 委員の先生方の意見が一致しない治療法

保存的治療
軟便を伴う便失禁には、食物繊維を摂取すること(推奨度A)
便性状を軟化させる食事とアルコールを控えること(推奨度B)

薬物療法
・軟便を伴う便失禁に対して、ポリカルボフィルカルシウム(推奨度B)
・軟便を伴う便失禁に対して、ロペラミド塩酸塩(推奨度A)
・下痢型の過敏性腸症候群における切迫性便失禁に対しては、ラモセトロン塩酸塩(推奨度B)
・軟便を伴わない便失禁に対しては、アミトリプチリン塩酸塩やジアゼパムなどの抗うつ薬・抗不安薬が有用(推奨度C)
・糞便塞栓に伴う溢流性の漏出性便失禁に対して、排便習慣指導に加えて、坐薬や浣腸による定期的な直腸の空虚化(推奨度B)
・適切に指導された骨盤底筋訓練(推奨度C)
・バイオフィードバック療法(推奨度C)
挿入型肛門用失禁装具(アナルプラグ)(推奨度C)

逆行性洗腸法(灌注排便法、経肛門的洗腸法)は有用(推奨度B)

外科的治療
肛門括約筋修復/形成術は括約筋断裂による場合は有用(推奨度B)
仙骨神経刺激療法(SNM)は有用(推奨度A)
順行性洗腸法は有用な治療である(推奨度C)
有茎薄筋移植術(推奨度D)

肛門疾患に関して

痔核


排便時のいきみなどが原因で肛門を閉じる内痔静脈瘤が膨らむ病気です。
当初は排便時の違和感や痛みを伴わない出血などがみられ、次第に残便感や脱出などが見られるようになります。痛みを伴わない出血は直腸癌などにもみられる症状ですから、早めの受診をお勧めします。

治療法は先ず、痔核の誘因となっている便秘や過度ないきみなどの生活習慣の改善です。
軽度の場合は、軟膏や内服薬で治療します。以前から根治目的には切除術が行われていましたが、術後の出血や痛みなどを伴うため翌日からの就労にも影響します。この点では切らずに治す日帰りアルタ療法(ジオン注)は素晴らしい治療法と言えます。

痔瘻


下痢や軟便の傾向にある男性に多く見られます。
肛門からばい菌が入り肛門の周囲に膿が溜まります。症状としては持続する痛み、発熱、腫れなどがあります。
この時点で来院され抗生剤の投与や切開排膿を受ける場合と、自然に破れて痔瘻になり来院される場合があります。特に若い男性の場合、クローン病など難治性腸疾患が原因で痔瘻が発生することもあります。
また肛門周囲の皮膚から細菌感染を起こし同様な症状がみられることもあります。
この場合、皮膚科か肛門科どちらに行くべきか迷う場合があると思いますが、まずは肛門科を受診してください。
治療は基本的には手術となります。炎症がひどい時はまず、抗生剤投与と切開排膿です。炎症が治ったら根治手術になります。
1、切開開放術
痔瘻のトンネルを切り開く方法ですが、痔瘻の部位により肛門の機能低下を起こすため選択できないことがあります。
2、シートン法
痔瘻のトンネル内に特殊なゴムを挿入し、ゴムの弾力性を利用し時間をかけて徐々にトンネルを切除する方法です。 肛門機能が温存され痛みや出血は軽微です。

裂肛


硬便や便秘、下痢の方に多く見られます。
症状としては排便時の痛みです。出血を伴うこともあります。放置すると切れた傷が固くなり肛門が狭くなることがあります。
こうなると排便しにくいため便意を我慢するようになり、排便のタイミングを逃すことになります。すると先進部の便が固くなり排便時にまた切れてしまいます。
いわゆる悪循環が起こります。さらにはいきみにより内痔核の引き金になります。
また裂肛が深くなると肛門潰瘍となり、膿瘍を形成し痔瘻の症状を引き起こすこともあります。

ですから便秘(下痢)の治療が必須です。
軟膏を使用すると痛みは軽減することが多いですが、狭くなった肛門は拡げる必要があります。どれ位狭いかは肛門の筋力測定(直腸肛門機能検査)で簡単に調べる事が出来ます。方法としては処置か手術で拡げます。処置ではあまり痛みのない特殊な風船で直径18mmまで拡張できます。血液サラサラにする薬を服用している方には最良の方法です。手術には2つの方法があります。
1)側方皮下内括約筋切開術(LSIS)
排便時に繰り返し切れる場合に行います。局所麻酔後極細のメスで突っ張りの強い内肛門括約筋を一部切開し肛門を拡げる方法です。それまでの肛門の痛みは劇的に改善し、その後の排便も楽になります。手術は数分で終わります。
2)皮膚弁移動術(SSG)
切れ痔が慢性化した瘢痕による肛門狭窄や以前の肛門手術後の瘢痕狭窄に対して行います。内肛門括約筋を切開(切除)し皮膚弁を移動させる方法です。下半身麻酔で数分で終わります。
いずれも日帰り手術で翌日就労可能です。

直腸脱


主な症状はお産の経験のある高齢者に見られます。膀胱脱や子宮脱などを同じいわゆる骨盤臓器脱と考えられます。多くは肛門括約筋の機能低下を伴っています。
治療は、
1)経肛門的手術
    直腸の縫縮(Gant 三輪法)
    肛門の縫縮(Tiersh 法)
2)経腹的手術
    腹腔鏡下直腸固定術
受付時間
9:00~12:00 14:00~17:30
※1
※2

※116:00~17:30
※29:00~12:30

休診日:日曜・祝日

新患でいらっしゃる方は問診票の内容を伺います。問診票を事前にダウンロードしてお持ちください。
お持ち頂くと診療までの時間が短縮できます。 問診票1 問診票2